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蛍 石
望遠レンズの色収差補正に絶大な威力を発揮する蛍石(フローライト)レンズを、世界で唯一写真用レンズとして実用化したのがキヤノンである。蛍石が色収差の補正に理想的な光学特性を持っていることは、光学研究の分野では戦前から知られていたが、天然結晶では採取できる硝材の大きさに限界があり、それが蛍石を用いた写真レンズ実用化の大きな障害となっていた。そこでキヤノンは1960年代後半に独自で人工結晶の製造技術を開発し、写真レンズとして十分な大きさの人工結晶を作り出すことに成功した。また蛍石はガラスに比べて研磨行程でキズが入りやすいため、研磨技術においても独自の技術開発が必要だった。 数々の障害を乗り越えた結果、現在のキヤノン製大口径超望遠レンズには大型の蛍石レンズが用いられ、理想的な光学設計を可能にしている。 |
超音波モーター(USM)
オートフォーカス一眼レフ用の交換レンズの動力は、大抵の場合ボディ側から突き出した回転軸を介して供給されているが、キヤノンのAFレンズは全てレンズ内部にモーターを持ち、ボディ側からは電源の供給のみを行っている。そのため写真レンズ内部に組み込む理想的な動力源として、キヤノンが初めて実用化したのが超音波モーター(USM)である。超音波モーターは高速、高トルクで駆動できるうえ、リング状に設計することによって中央に円形の空間を確保できるため、光学系を内蔵する写真レンズ用の動力源として最適である。また減速ギアも不要なため殆ど無音での駆動が可能である。現在ではいくつものカメラメーカーが超音波モーター内蔵レンズを相次いで製品化しているが、キヤノンが初めて超音波モーター内蔵レンズを製品化した1987年当時は、超音波モーターどころかレンズ内にモーターを内蔵することすら珍しかった時代なのである。 |
手振れ補正機能(IS)
キヤノンは一眼レフ用交換レンズの分野で、手振れ補正機能を世界で初めて実用化した。 手振れ補正技術には現在大きく分けて2つの方式がある。 一眼レフの主流がデジタルになったここ数年は、撮像素子をブレにあわせて高速で水平移動する「CCDシフト方式」を採用したデジタル一眼レフの発表が相次いでいるが、世界初の手振れ補正レンズEF75-300mmF4.5-5.6ISが発売されたのは1995年である。当然のことながら当時はフィルムカメラが主流だったため、レンズ内部の光学系の一部をブレにあわせて高速で水平移動させる「光学系シフト方式」が採用された。そしてデジタルカメラが主流となっている現在も、キヤノンの手振れ補正技術(IS・アイエス)には光学系シフト方式が採用されている。ちなみにキヤノンが先陣を切った光学系シフト方式は、現在手振れ補正機能を内蔵コンパクトデジタルカメラにも多く採用されている。 |
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