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SONY α7SII インタビュー



    [福士氏]
    α7SⅡでは、画像処理エンジンBINONZXの処理能力を引き出し、カメラ内のメモリーカードに4K動画を記録できるようになったことが、今回の動画撮影に関する進化点として非常に大きいです。

    [マップカメラ]
    先んじて発売したα7RIIも静止画4,240万画素の高精細画質に加えて、カメラ内での4K動画収録にまで対応してきたことに度肝を抜かれました。高感度の特性以外に、両者の4K動画収録については読み出し方法の違いがあるようですが、この辺りについても解説を頂けますでしょうか。

    [福士氏]
    ご存じのとおり静止画撮影を前提としたセンサーは、動画で必要な解像度を出力するために間引いたり、足りない部分を補完したりといった内部処理が行われております。もとの画素数によって最適なダウンサイジングの方法が異なるのが理由となります。

    大まかに申し上げますとα7SIIは4K動画の内部記録、及び出力は35mm判フルサイズでのみ撮影が可能で、その際には間引きなどの処理を行わず全画素を読み出すことで4K解像度の動画を記録できます。それに対してα7RIIについては35mm判フルサイズの画角では画素加算、ピクセルビニングと呼ばれるような隣合う画素を仮想的に1画素として出力する方法となります。当然 全画素読み出しの形式のほうが映像クオリティとして優れたものとなります。

    ただ、α7RIIに関しては業務用ビデオカメラで採用されているSuper35mmという静止画カメラで言うAPS-Cフォーマットを16:9にしたような画角において、全画素読み出しの4K動画記録、及び出力が行えるようになっております。
    その際は、センサー上のスーパー35mm領域の約1500万画素を全画素読み出しし、BIONZXにて4K動画に必要な約800万画素の情報に落とし込むオーバーサンプリングという処理を行うことで、通常の全画素読み出しの動画よりも更に解像感に優れた描写が得られるようになっています。

    [マップカメラ]
    つまりSuper35mmという映像業界に親しみの深い画角で最高品質の4K出力が可能なα7RIIは、PLマウントをはじめとしたSuper35mmのイメージサークルまでをカバーした交換レンズなどを使い回せるため、放送局などの業務利用には向いていると言えますね。

    [福士氏]
    はい、そういったご提案をさせて頂いております。優劣ではなくキャラクターの違いと捉えて頂きたいのですが、対するα7SIIはそもそも大型センサーでの映像表現に求められている浅い被写界深度、広大なダイナミックレンジといったものを活かせる35mm判フルサイズというフォーマットで、最高品質の4K動画の内部記録、及び出力が行えるカメラということになります。圧倒的な高感度性能で未知の領域の撮影が4Kという高解像度動画で残せるところもα7SIIの大きな売りとなっておりますので、ぜひご堪能頂きたいです。

    また、4K動画だけではなくフルHDでの収録機能も向上しておりまして、120fpsの高速フレームレートに対応しております。これにより4倍・5倍のスローモーション動画の作成も十分な解像度で行うことが可能です。さらに踏み込んだ機能となりますが、S-Log3という映像用のガンマ設定に対応しております。映像表現域を決める要素としましてはガンマ(階調)とガマット(色域)がございまして、S-Log3とS-Gamut3では、S-Log2とS-Gamutの組み合わせよりも色再現性を改善しています。また、S-Log3設定時は、14ストップという広い再現域を確保しています。

    [マップカメラ]
    ブラックマジックデザイン社の手が届くような価格帯のRAW動画収録対応カメラでも13ストップまでの記録でしたので、表現域の広さは素晴らしいということでしょうね。ちなみに今回もXAVC SフォーマットでのMP4形式での記録ということですが、編集時の軽快さからApple ProResのMOV形式での記録やDNG RAWでの動画収録にも対応していくといったことは考えられますか?

    [福士氏]
    これからどういった方向で進化していくかは現時点で差し控えさせて頂きます。

    [マップカメラ]
    やはり自社の4Kブラビアでの再生などを行えるところがメーカーとしての強みでしょうし、あまり現実的ではないといった感じでしょうかね(笑) 実際のところProResのような低圧縮ファイルは編集負荷は低いですが、やはりファイルサイズは非常に大きくなります。一般の方も扱えてできうる限り高品質な映像といった観点では現状の最適解ということですかね。

    [福士氏]
    おっしゃる通り、ProResと比べればXAVC Sでは大幅にファイルサイズを抑えられますので、品質とのバランスからみても優秀な圧縮形式となっております。

    [マップカメラ]
    Log収録の話に戻りますが、映像編集については敷居の高さを感じている方も多いですよね。とはいえ広い階調性の保持と編集時の色調の自由度の高さはデジタル写真におけるRAW現像に近いものを感じます。きちんと規格化されているLogの形式はゼロから仕上げるだけではなく対応したLUTをあてがうことで、短時間で効率の良い階調、色調の表現が得られます。ぜひとも一度チャレンジして頂きたい部分です。

    [福士氏]
    そういったカラーグレーディングというような工程に用いるソフトウェアには、一般的にAdobe Premiereや、先ほどカメラのお話も上がったブラックマジックデザイン社のDAVINCI RESOLVEなどがあります。
    また、ソニーとしてはCatalyst Browseという、ソニーの業務用機器で扱われるフォーマットをカバーしたクロスプラットフォームのソフトウェアがあるのですが、こちらでも、カラーグレーディングをして頂くことができます。カラーグレーディングをすることで、カメラの持つ表現力をさらに活かして頂けます。

    [マップカメラ]
    最新のDAVINCI RESOLVEは日本語モードも追加されましたし、限られた機能を除けば無償提供されておりますのでおすすめですね。

    [福士氏]
    はい、ハイアマチュアユーザーの方だけでなく映画業界のお仕事などでもご利用頂ける仕様となっております。SONYのLogには今回のα7SIIに搭載されているS-Log3以外にも、先代α7Sに搭載されていたS-Log2もあります。映画業界にはスタンダードとなっているDCI-P3という色域がございまして、最新のS-Log3ではDCI-P3をカバーしつつ偏りも少ないGamut3 の色域を組み合わせることができますので、デジタルシネマでの上映を意識したグレーディングが容易となっております。

    [マップカメラ]
    詳しい説明ありがとうございます。聞きなれない用語がでてきましたのでまだまだ勉強の余地がありそうです…。(苦笑)

    [福士氏]
    少し脱線してしまいましたが、動画性能の向上を端的に申し上げますと、α7SIIはいかなる状況にも対応できる広いダイナミックレンジと高感度性能を持ちつつ、カメラ内での4K収録が可能ということで、個人や小規模なプロダクションで使うカメラとして非常に進化をしております。今まで解説したようなS-Log3に対応したSONYのビデオカメラは70~100万円クラスのものになりますので、α7SIIの機能・サイズでこの価格は実は相当リーズナブルと言えます。

最後に
    [マップカメラ]
    サンプルで見せていただいた作例から、ISO6400などでは、非常に自然なトーンの繋がりがあり、高感度撮影とは思えない出来栄えでした。また、今回実写作品は55インチの4Kモニターで鑑賞をさせて頂きましたが、1,220万画素でも不満のない解像度でした。ここまでの撮影性能があれば、本当に今まで撮れなかった世界や、できなかった表現が手に入れられると思います。

    [福士氏]
    ありがとうございます。たしかに1,220万画素というのは最近の35mm判センサーとしては低画素であることは事実です。ですが、ダイナミックレンジや高感度性能など、画素数での解像度アップとは別のベクトルでの高画質があることもまた事実だとソニーは考えます。プリント作品としてもA3ノビまでなら160dpiで申し分ないクォリティのものが出力可能です。一般的な作品展などでは充分に活躍できると思います。

    [マップカメラ]
    解像度とは別のベクトルの高画質、という考え方はすばらしいですね。ダイナミックレンジに余裕のあるセンサーだからこその階調表現などを確かに感じることができました。

    この度は詳しい解説をありがとうございました。撮影フィールドの拡がりだけでなく、本当に未知なる被写体に挑むようなモチベーションを得られるカメラです。今後ともマップカメラでは製品の開発コンセプトや、その魅力をお客様へしっかりとお伝えできるように努めていきます。
    個性的な進化を遂げたα7SIIを用いて皆様の写真・映像表現の幅を大いに拡げて頂ければ幸いです。


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