-カメラのメガネ『Adjustigma』-
カメラのメガネ『Adjustigma』とは
アジャスト(補正)+アスティグマティズム(医:乱視)=『Adjustigma』
『Adjustigma』とは、乱視を伴った近視または遠視の眼に対し、
メガネやコンタクトレンズを用いないで補正することが可能な
画期的な視度補正アクセサリーのことである。
─── そもそも「乱視」とはどのような状態を指すのか、また、一般的な「近視」「遠視」とは何が異なるのでしょうか。
大野氏:先ず最初に、正視(正確に見える眼)をご説明いたします。正視とは、眼に力を入れずに無限遠を見たときに、網膜上(カメラに例えるとフィルムや撮像素子の位置)にぴったりと焦点を結ぶ眼のことです。外部から侵入して来た光の束が角膜→虹彩→水晶体(レンズと絞り)を通過する時に眼球(カメラ)の奥に向かって円錐状にすぼまり、その円錐の頂点が網膜(フィルムや撮像素子の位置)の位置に合焦する眼が正視の状態です。それは眼球の屈折系の縦方向横方向、斜め方向の曲率が綺麗な球体をしているおかげです。
近視の眼の場合は眼球そのものの屈折度が強い(光を曲げる力)ため、円錐が急速にすぼまり、網膜の手前に焦点を結んでしまいます。そしてさらに奥に向かって円錐が広がりながら光線が進みます。その広がった円錐の途中に網膜があるため一点で結ばれなくてはならないはずが焦点ではなく円として網膜に投影されてしまいます。
遠視は近視と反対に、眼球そのものの屈折度が弱いため、光を曲げにくく光の束の円錐の頂点は網膜を通り越してしまいます。そのため、網膜上には円錐の途中の円が投影されてしまいます。しかし投影される像は、近視遠視いずれの目もピントはずれていても歪みのない円形として投影されます。それは、先程説明しましたように、歪みのない球体だからなのです。
しかし、乱視の場合は縦方向と横方向で丸み(曲率半径)が異なるラグビーボールの様な形状になります。したがって、縦方向の光が焦点を結ぶ位置と横方向の光が焦点を結ぶ位置が異なります。円錐の底面は◯ですが、乱視眼の場合は楕円錐となり、焦点(焦線となります)はどこにも結像しません。
大野氏:乱視には、微弱な乱視、軽度の乱視、中等度の乱視、強度の乱視、また、遠視を伴った乱視や近視を伴った乱視など、様々なパターンがあります。厳密な正視眼の人のほうがはるかに少ないと思います。
しかし、気になる(生活に支障がある)程の乱視の方と、気にならない、気にしない、または乱視に気づいていない潜在者は驚くほど多くいらっしゃいます。その方々に気づいていただくことがとても重要だと考えています。
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通常の視度補正レンズとの違い
大野氏:一般的な補正方法としての手法に「等価球面」という補正の考え方があります。これは、乱視度の半分の度を近視度として追加補正するということです。もちろん補正レンズが無いよりは多少見えると思いますが、鮮明なファインダー像が見えない上に眼精疲労を伴います。
大野氏:Adjustigmaは、通常1枚または2枚の補正レンズを使って完全矯正値で補正をいたします。
具体的には、カメラ本体側に組み込んだレンズで近視または遠視を補正し、アイピース側のレンズで乱視の補正をします。そうする事で、光の束の完全な円錐の頂点を網膜上に合焦させることが出来るのです。
従って、縦横どの方向に対しても過矯正にはならず、眼に力を入れずにファインダーを観察出来ることで眼精疲労も起きにくくなるというわけです。
《 Adjustigma対応表 》
- ▼ Leica用(M3~)▼
- M3 / MP(オリジナル) / M2 / M1 / M4 / M5 / M4-2 / M4-P/M6 / M6 TTL / M7 / MP / M8 / M8.2 / M9 / M9-P / M(Typ240) / M-E / Mモノクローム / M-A(Typ127) / M-P(Typ240) / Mモノクローム(Typ246) / M(Typ262) / M-D(Typ262)
- ▼ Leica用(M10~)▼
- M10 / M10-P / M10-D
- ▼ Nikon用 ▼
- F5 / F6 / D1 / D1X / D1H / D2H / D2X / D2Hs / D2Xs / D3 / D3X / D3S / D4 / D4S / D5 / D850 / D810 / D810A / D800 / D800E / D700 / Df / D500
- ▼ Canon用(Nikon用 + Nikon アイピースアダプター DK-27) ▼
- EOS-1D X MarkII / EOS-1D X / EOS-1D S Mark III / EOS-1D Mark IV / EOS-1D Mark III / EOS 5Ds / EOS 5Ds R / EOS 5DMark IV /
EOS 5D Mark III / EOS 7D Mark II / EOS 7D
※DK-27は別途お買い求めください
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実際に『Adjustigma』を購入したお客様の声
Adjustigmaは、プロカメラマンであるハービー・山口氏も愛用している。上の写真は実際に大野氏がハービー氏専用のAdjustigmaを作成している場面だ。
また、Adjustigmaを購入された方から続々と喜びのコメントが大野氏の元に寄せられている。その一部をご紹介したい。
- 暗い場所でも二重像が合せやすくなった。
- 視力はあまり良くないが、日頃からメガネを掛けているわけではないので、写真を撮る時だけメガネを掛けるのは嫌だった。Adjustigmaのおかげでメガネを掛けないで済むのが嬉しい。
- ズミルックス50mmやノクチルックス50mmを付けている際のピントの歩留まりが格段に上がった。
- メガネでファインダーを見ると周辺がケラレるけれど、Adjustigmaを使うと最小のケラレで済むのが嬉しい。
- 今までカメラを覗いた時にメガネに傷が付いたり汚れたりしていたがこれからは気にしないで済む。
- マクロ撮影時のマニュアルでのピント合わせが楽になった。
- Adjustigmaにはニコン純正のマグニファイアー『DK-17M』が付けられるので助かる。
- もう、撮影の時にはメガネが全く不要で、感動です!!ライブビューとの併用で特に力を発揮しました!
- マニュアルのピント合わせは不安が先行していたのですが、大口径レンズのピントがくっきり立ちあがって、マニュアルのピント合わせがこんなに楽しかったかと改めて。
『Adjustigma』が生まれたきっかけ
─── 『Adjustigma』を作ろうと考えたきっかけを教えてください。
大野氏:眼鏡販売に携わって、かれこれ40年余りになります。今まで出会ったお客様の中で写真をご趣味にしていらっしゃって、乱視のせいでピント合わせに苦労しているという話を度々耳にしておりました。
そんな事もあり、私自身裸眼視力は1.2〜1.5あるのですが、2段階程の軽い遠視と4段階程度の近視性乱視を持っていましたので、試しに検査用レンズをカメラのアイピースに乗せファインダーを覗いた時の鮮明な映像を観た瞬間に「これは行ける!」と確信したのが始まりです。
─── 製作の上で、最もこだわった部分、自信のある部分をお聞かせください。
大野氏:長年視力測定をしてきた経験による視度チェックの正確さです。そして、全て国内生産をしている事による加工精度と仕上がりはLeica純正と言っても通用するくらいの格調高い出来栄えです。実際にライカ本社P・カルベ氏に使って頂いております。
─── 製作の上で、最も苦労した部分についてお聞かせください。
大野氏:特に試作段階での図面制作には苦労をしました。図面に関しては素人ですので、頭の中で基本構造を三次元で考え、ひらめいた機構をメモに描き、それを専門家の方に製図していただいておりました。試作や製品の加工を引き受けて下さった木下光学研究所の木下社長には、大変お世話になりました。
─── Adjustigmaは乱視をお持ちの方にぜひ使っていただきたい製品ですが、そうした方々へのコメントをお願いいたします。
大野氏:「視力には困っていない」「運転免許はメガネ無しでパスをした」「裸眼でも1.2ある」とおっしゃる方でも、是非一度、正確な視度チェックをしていただきたいと思います。
完璧な視度補正をした眼でファインダーを見ると、別世界を体験することが出来ます。カメラやレンズにお金を掛ける前に、是非ご自身の眼のチェックをしていただきたいのです。
また、オールドレンズが盛り上がって来ている昨今、マニュアルでのピンの良さ、マクロ撮影する時のヘリコイドを繰り出してピタッとピンが来た瞬間、私自身鳥肌が立ちました。花のアップを撮る時、シベ一本にピントを合わせるというよりも、花粉一粒にピントを合わせられるといったレベルになり、合焦部分とボケの領域の感じが更にイメージし易くなると思います。
オプト オオノ代表 / 大野 龍男 氏日本眼鏡技術者協会(JOA)の認定眼鏡士。
30年ほど眼鏡店に勤務。その後、Adjustigmaの開発と時を同じくして約10年前に独立。現在は眼鏡小売業とAdjustigmaの制作販売を手がけている。趣味は音楽鑑賞と写真撮影とアウトドア。
今回のインタビューで訪れた大野氏の自宅では、ライカをはじめとする数多くの趣味嗜好を垣間見ることが出来た。ご自身が磨き込んだライカM(Typ240)や、真空管アンプから流れる荘厳なクラシック、じっくりと煎れたコーヒーに、往年のスポーツカーや歴代のF1のミニカー。男性なら誰もが憧れるその空間に鎮座していたものは、多様性はあれど大野氏のこだわりが垣間見れるという共通性があった。
手に触れるものにこだわる、聞こえる音にこだわる、香りや味にこだわる。そうしたワンランク上のセンスが、『Adjustigma』という視度補正レンズを唯一無二の存在へと導いているようにも感じられ、製品の精度と大野氏の人間性という点と点が一本の線で繋がったような印象を持った。
─── 最後に、趣味を楽しむ姿勢と『Adjustigma』に取り組む姿勢。この二つの共通点について教えてください。
大野氏:大好きな趣味の世界で手を抜いてしまったら、もうそれは満足感、充実感を求める楽しさとはかけ離れた時間になってしまうのではないでしょうか。Adjustigmaを開発したのも、自分が求めていた「更に素晴らしいファインダーの見え方」を追求したかったのです。
本来、メーカーが知恵と技術を集結して設計したはずのファインダー。しかし、それは使う側の眼が完璧である事が大前提として成り立つお話だと思います。ゆえに、趣味の写真撮影でも妥協せず鮮鋭で、ピントの山が掴みやすく撮影のモチベーションが上がる物―Adjustigmaを自分自身が欲しくて作ってしまいました。
そして「これだけ良い物ならば、困っている方の役に立てるのではないか。そして、それを作れるのは長年に渡って視力とメガネに携わってきた私の出番ではないか。」と気付きました。Adjustigmaを装着し鮮明なファインダーを見て一番喜んで、一番興奮したのはきっと私自身だったと思います。
最後にお伝えしたいことは、写真愛好家の皆様や一般の方々に関わらず、ご自身の視力に対しての関心をもっと高めていただきたいと思っております。
視覚情報は、五感のうちの80%を占めていると言われています。私達の知識や経験の多くは、今まで見てきた物事から得られた情報を基に構築されていると言っても過言ではないと思います。そして、今までの培ってきた個人々の感覚を基準として、全ての物事を判断しています。自身では中々判断し難い事だとは思いますが「本当に自分の眼はきちんと見えているのか」「見ている全ての物事が正しく眼に映り、真実が見えているのか」そして「その見て来たことが真実の情報として、自身の知識経験になる事に不安は無いか」そのような潜在しているはずのニーズの喚起と同時に、眼鏡人の使命として解決のお手伝いをさせていただきたいと思っております。
何かの縁で一期一会の被写体に出会えた時、思い通りに写真に収めていただきたい。真の姿を捉えていただきたい。そんな思いが「オプト オオノ」の物作りへの姿勢です。

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